2020年5月31日日曜日

結局フィリピン不動産ってどこの国の人が買っているの?「Ayala Land」の最新IR資料より

私はサラリーマン投資家として、日本はもちろん、アメリカ、そしてフィリピン、その他中国、香港、ベトナム等幅広い国の株式銘柄に分散投資しています。
どの国でもたいてい英語のIR資料があるので、英語の勉強もかねて時間があるときにIR資料を読み込んでいます。

今回たまたまになるのですが、私も投資しているフィリピン最大手不動産ディベロッパーである「Ayala Land」の最新のIR資料を読んでいたら興味深い項目があったのでシェアします。

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成長著しいフィリピン不動産ですが、マニラ、特にその中でもマカティ中心に物件価格は高騰を続けています。日本人にとっては東京と比較するとまだまだ買いやすい価格ではありますが、現地フィリピン人にとっては一人当たりGDPとか考えると手を出せる水準を大幅に超えているのが現状です。

フィリピン不動産投資家の方はご存知だと思いますが、フィリピン不動産は外国人に対して様々な規制があり、そもそもですが、外国人はフィリピンの土地を取得することができないため、戸建て住居等はそもそも外国人は購入することが出来ません。ですので、フィリピン不動産投資は我々日本人や他の外国人にとっては、コンドミニアム投資に限定されることになります。

また、そうしたコンドミニアム(日本で云うところのマンションですね)でも、コンドミニアム法という法律で外国人の所有は建物全体の40%までしか認められていないので、当然のことながら、残りの60%はフィリピン人が購入することになります。

そして、たまたまになるのですが、「Ayala Land」のIR資料を読んでいたら、物件購入者の国籍別の割合が掲載されていたので興味深く拝見しました。

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このスライド1枚に全てがつまっているのですが、そもそも「Ayala Land」はこのコロナ禍で売上が前年比-27%の大幅マイナスとなっています。

実際各ブランド毎に見ると、ALP(Ayala land premier)とALVEOの落ち込みが目立ちますね。この2つのブランドはアヤラランドの中でも富裕層向けに位置付けられており、資料からは高級ブランド、高級物件ほど売上げが落ち込んでいる、ということが読み取れます。
つまり、現地フィリピンで購入できる層は本当に一握りになりますので、外国人を中心とした、海外からの不動産投資案件が減っている、という理解で間違いないと思います。


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一方実需に近い、「Avida」と「Amaia」はあまり大きな落ち込みが見られません。
私もプレビルドで「Avida」の物件を購入していますが、キャピタルだけではなく、その後の賃貸含めたインカムも含めた投資を考えるとこういった未曽有の不況時は、より実需に近い物件のほうが強いと思います。

もちろん、物件の売り出しタイミングにもよるかとは思うのですが、今後のフィリピン不動産投資動向をうらなう意味でも高級ブランドの落ち込みは気になるところです。

そして、実際どの国の方が購入しているか、ですが、

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現地在住のフィリピン人が69%(-30%)、外国に出稼ぎに出ているフィリピン人が16%(-3%)、そして他の外国人が15%(-36%)になっています。

落ち込みとしては、ほとんどが投資案件だと思いますが、外国人が最も大きくなっています。また、フィリピン人の中でもいわゆる海外に出稼ぎしているフィリピン人からの落ち込みはそれほどでもない(-3%)のですが、現地在住の落ち込みが大きく、フィリピン国内の景気指標を見ていく上でもこちらも重要だと思います。

そして、その国別のランキングですが、
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こちらがその内訳になるのですが、ご覧頂く通り、圧倒的に中国人で、全体の41%を占めています。一方、この新型コロナウィルスの影響で落ち幅も-49%と圧倒的に大きくなっています。

中国人のシェアの大きさは、フィリピン経済の大きな一角を占めているPOGO(オンラインカジノ産業)などとも大きな関係があります。色々な問題をはらみながらも中国人があらゆる側面でフィリピン経済のカギを握っているのは間違いありません。

意外なところでは、実はアメリカ人が32%を占めているのですよね。英語圏であること、投資対象として、アメリカの富裕層が注目しているんでしょうかね?アメリカから見ると地理的に必ずしも近いわけではないので私にとってはとても意外でした。

そして、日本人は全体の5%を占めています。ただ、それ以下はほとんど比率は変わらず、台湾、カナダ、韓国、オーストラリア、イギリス、シンガポールと続きます。

「海外不動産」「フィリピン投資」「フィリピン不動産」というワードの日本での何ともいえない胡散臭さは今に始まったことではありません。フィリピンの日本でのイメージは「フィリピンパブ」を筆頭にとても悪い、と言わずるを得ないので、個人的には日本の経済力など総合的に考えると割合がもっと高くてよいと思いますが、こんなもんかな、と思います。まぁあんまり日本でフィリピン投資が盛り上がっても変に注目されるだけなので、これぐらいがいいのかな、とも思いますが。

個人的な意見ですが、「日本」だけを見ていると分からない世界が「フィリピン」にはあります。「新興国の熱狂」は実際自分の目で見ないと分からないですよね。将来を見据えた投資が日本人にも必要だと思います。

私もフィリピン不動産投資は比較的順調ではあるのですが、フィリピン株式は正直あまりうまくいっていないので偉そうなことは言えませんが、衰退する日本とは全く別の世界が開けている海外投資は、別にフィリピンが一番だとは思いませんが、先入観に囚われずやってみたほうが色々な意味で勉強になりますし、視野も広がると思います。

意外な気付きがあって面白かったので、今後も「Ayala Land」のIR資料は定点観測していきたい、と思います。

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Ayala Land を擁するフィリピン最古の財閥「Ayala Corporation」について、こちらの記事で詳しく紹介しています。是非ご覧ください。




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