2020年5月9日土曜日

「アフターコロナ」「ニューノーマル」時代のフィリピンに待っているのはもしかしたら「絶望」かもしれない…

直近日本でもフィリピン関連でいくつかニュースが話題になりました。

特に衝撃的だったのは、以下のニュースです。



フィリピンの2020年第一四半期1月~3月のGDP伸び率が-0.2%になったということで、マイナス成長は実に21年ぶり。前年2019年1月~3月が+6.7%だったので大きく落ち込んだことになります。

そもそもですが、いまはコロナ一色で全世界的にロックダウンが進行中ですが、フィリピンにおいては、1月に首都マニラに近い火山が噴火し、近隣の工業団地に被害が及んでいました。その流れでのコロナショックで、完全な自然災害に依るものですので、政治とかでもはや何とかなるレベルではありません。

ただ、リーマンショック時でさえ、プラス成長を続けていたフィリピン経済全体には非常にインパクトが大きく、私自身、フィリピン経済のコロナ後の超V字回復を何となく想定はしていたのですが、もしかしたら、そんな簡単な話ではなく、長い長い暗闇がしばらく続くのでは…、と思い始めています。

そう思ったのは以下のニュースがあります。



ざっくりどういう内容かというと、フィリピンの大手テレビ・ラジオ局である『ABS-CBN』の放送事業免許が5月5日で切れて、放送が途絶えた状態になっている、という記事です。

もともと『ABS-CBN』は2016年の大統領選挙時にドゥテルテ大統領の選挙コマーシャルを放映しなかった等ドゥテルテ政権に批判的な報道スタンスであり、実際政権は放送免許更新の期限が迫る中で揺さぶりをかけていました。

無理やり日本に置き換えると、安倍政権に批判的な報道スタンスを取る(実際にそうだと思いますが)テレビ朝日が、放送免許をはく奪され、ある日突然番組が見れなくなる、といった状況です。

これ、冷静に考えてヤバいですよね。

私自身はドゥテルテ大統領及び政権に関しては投資家目線では基本ポジティブです。「build build build」など日本の高度経済成長時代の田中角栄の「日本列島改造論」「所得倍増計画」を彷彿とさせる政策ですよね。経済的には大いにプラスに作用しています。



麻薬取締についても剛腕を発揮し、世界中から非難の声があれど、フィリピン国内では圧倒的な支持を得てやりきっています。

ただ、自身に批判的なメディアを攻撃するのは、アメリカのトランプ大統領もやっていることなのでまぁ許容範囲内ですが、免許はく奪というレベルは許容範囲を遥かに超えています。

健全な民主主義あっての「投資活動」であり、将来的な「資産形成」活動ではありますが、今回の「コロナショック」でフィリピンを含めた世界中で色々なところで「自由」に綻びが出てきているように感じています。「経済の成長」という熱狂の中では覆い隠されていたフィリピン社会のダークな部分がこれ以上出ないことを切に願います。

ちなみに『ABS-CBN』はフィリピン有数の財閥の一つであるロペス一族が運営する『ロペス・ホールディングス(Lopez Holdings)』のグループのメディア企業になります。

このロペス・ホールディングスは不動産業も当然のように行っていて、不動産部門の会社はおそらくご存知の方も多いと思うのですが、「ロックウェルランド(ROCKWELL LAND)」という会社になり、例えば、ロックウェルセンターなど大規模開発や超がつく高級物件を取り扱っています。

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今後ロペスホールディングス及び、ロックウェルランドへの株式投資や不動産投資についてはドゥテルテ政権との距離感とかも見据えながら慎重に判断したほうがよいかもしれませんね。実際、新興国投資では日本から見ると「えりえない!」ことが実際に起こったりしますので…。

実際『ABS-CBN』は5月9日現在、フィリピン証券取引所で取引停止措置が取られています。一時的な措置だと信じたいですが、放送免許がどうなるのかなど注視していきたい、と思います。

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